【 旅行者に影響はあるの? 】バリ島の身分制度、カーストの歴史と実態
2020年4月12日
こんにちは、バリ倶楽部のさすけです。
皆さん、カースト制度という制度は聞いたことありますか?カースト制度は具体的にどういう制度なのか、現在のバリ島にも存在するのか、われわれ外国人にどう影響するのか。
今回はバリ島におけるカースト制度を詳しく紹介します。旅行者にどういう影響があるのかも含めて紹介したいと思います。
目次
カースト制度とは
ヒンドゥー教の社会における身分制度のことをさします。主にヒンドゥー教徒が多いインドとバリ島に存在する宗教的な社会制度です。
インドでは「 カースト 」より「 ヴァルナ 」と呼ばれることが一般的だそうです。バリ島では色という意味の「 ワルナ 」や系統という意味の「 ワンサ 」とも呼ばれています。
カーストのヒエラルキー
ブラフマナ
司祭や神聖な儀式を行う高僧
クサトリア
王様や貴族、政治家や戦士
ワイシャ
商人
スードラ
農民
バリ島のカースト制度の歴史
バリ島にヒンドゥー教が伝わったのは2世紀と言われています。2世紀から14世紀までのバリ島はヒンドゥー教の社会にも関わらずカースト制度などは存在しませんでした。
カースト制度が導入されたのは14世頃が初めてです。バリ島の西隣の島、ジャワ島にあるマジャパヒット王国により持ち込まれてきたと言われています。
当時のインドネシアはマジャパヒットというヒンドゥー教の王国に統治されてました。マジャパヒットの領域はインドネシア全国、マレイ半島、カンボジアまで支配下になっていました。
マジャパヒットは東南アジアをほぼ統一したいの領土を広げてきたんですが、バリ島を治めることに大変苦労しました。1343年にやっとバリ島を統治できたといわれています。
マジャパヒットには既にトリワンサというカースト制度のようなもの存在してました。それは階級というよりかは職業で分けていました。ブラフマナ( お坊さん )、クサトリヤア( 軍人や政治家 )、ワイシャ( 商人 )の3つです。
このトリワンサを少しアレンジしてバリ島で導入したのが、バリ島のカースト制度の起源です。マジャパヒットの人たちは依然ブラフマナ、クサトリア、ワイシャに分けられて、もともと住んでいたバリ島の人々はスードラ( 一番低い階級 )に属することにしました。
スードラの人たちは社会的の地位も一番下にしたうえ、色んな制裁や制限を設けられました。上の階級の人たちとは謙譲語で話さないといけない、上の階級の人と結婚してはいけないなどなど
ようするに、バリ島のカースト制度の始まりまりはマジャパヒットの統治政策なんです。この政策はバリ島の反乱や再び力を付けないように手かせ足かせをかける政策に過ぎないです。
証拠としてはマジャパヒット時代より古くから存在するバリ島の伝統的な村をみると、カースト制度などは存在しない。例えばトゥガナン村や風葬で有名なトルニャン村です。村長やお坊さんはとても尊敬されていますが、階級や世襲制は存在しません。
スードラのカーストの人々は色んな生活面で不自由が多いです。バリ島では700年たった今もまだその名残があるので驚きです!
バリ島の日常で未だ残っているカースト制度
バリ島のカースト制度はヒンドゥー教と関係なく、植民政策の一つに過ぎないことを紹介しました。年々バリ島の人々の価値観も変わってきてます。グローバル化が進み、カーストの隔たりも薄れてきました。
バリ島でカースト制度が残っている具体的な例はこちら:
1.バリ島の人々の名前
バリ島の人々の名前は何番目の子供かを名前でわかるようになっています。本当の名前の前に長男長女にはワヤン、二男二女にはマデやカデック。そしてニョマンやクトゥッとつづきますが、実はこれらの名前はカーストが一番低いとされているスードラのみのルールです。
- カーストがブラフマナの人たちの名前の前に:
- カーストがクサトリアの人たちの名前に:
- カーストがワイシャの人は名前の前に:
男性:Ida Bagus( イダ・バグス )
女性:Ida Ayu( イダ・アユ )がつきます。
男性:Anak Agung, Dewa, Cokorda (アナッ・アグン、デワ、チョコルダ)
女性:Anak Agung, Cokorda(アナッ・アグン、チョコルダ)
男女ともに:Gusti(グスティ)
名前をみるだけでカーストがわかるようになっています。呼び方もちゃんとあったり、名前だけで呼び捨てにすることは礼儀正しくないとされています。
2.カーストが上の人には言葉が違う
カーストが上の方、特にブラフマナの方には謙譲語を使う習慣が根強く残っています。今のバリ島の若者は徐々にバリ語の謙譲語が話せなくなっていますがそういう時はインドネシア語で話します。
3.カーストが上の人との結婚は難しい
バリ島父系制です。日本と同じく女性が嫁ぎます。男の子供がいない家族は婿養子をもらうこともあります。ここでカーストが絡むと大変です。
カーストが上の男性のところへ嫁ぐと、自分の親や先祖を拝めなくなるというルールがあります。ブラフマナの男性はブラフマナの女性としか結婚しないという習慣も今も残っています。
観光客にカースト制度の影響
現在のバリ島はグローバル化がすすんでおり、以前は高層になれるのはブラフマナのカーストのみでしたが、今はどのカーストでも許されています。外国人がお坊さんになることも、日本人のバリヒンドゥー高僧が誕生したりしてます。
そもそも古代バリ島は適材適所で社会が成り立っていました。カースト制度のような世襲制はなかったもので途中から植民地政策として導入されたもの。
そして、旅行者には全くカースト制度を気にしなくてもいいです。ご安心ください。年上にはさん付けや敬語で話したりするという日本の常識もバリ島にもありますので、最低限の常識をもって接すれば大丈夫です。
まとめ
1.バリ島には元々カースト制度というコンセプトは無い
2.バリ島にあるカースト制度は植民地政策が起源
3.バリ島の人の名前をみればどのカーストの人なのかがわかる
4.現在もカースト制度の名残はありますが薄れてきてます
5.各カーストの格差がなくなり、徐々に残すべき伝統ではないという風潮
お客様からのメッセージ