技能実習制度の目的・趣旨は、我が国(日本)で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。
引用:JITOCO
「実習生の面接しにバリ島へ行くんだけど、喜古も面接に付き合ってくれない?」
無関係な僕に同伴を求めてきたのは建築会社の社長ちんみくん。人手不足を解消するために外国人実習生が欲しいと、受入れ企業の社長がわざわざ現地まで面接しに来るんですね。
っで、先日NHKを見てたら、その実習生が不足しているとか、途中で逃げ出しちゃう実習生が多いとか、受入れ企業が超ブラックで大問題とか・・・いろいろと大変みたい。
技能実習制度のことはよく分かりませんが、元実習生の話しなら聞くことができる。なんせ
バリ倶楽部の日本語ガイドは9人中の6人が元実習生です。
実習生を経験したことのない3人も濃いですよ。
- 日本のマグロ漁船乗組員
- 語学留学生、日本で介護のアルバイト
- バリバリの日本オタク、ゴリゴリ現役のコスプレイヤー
どんな流れで日本の企業にたどり着くのか?実際のところどんなもんなのか?実習生経験者に生の声を聞いてみたのでご紹介します。
↓↓僕が働く現地ツアー会社:
バリ倶楽部のWEBサイト
元実習生ムディの話
↑↑現在、バリ倶楽部の看板ガイドとして大活躍中の
ムディ。
出身地 | バリ島 クルンクン県 |
実習業務 | 建設業 |
実習期間 | 2008年 ~ 2011年 |
滞在先 | 千葉県 船橋市 |
日本への道
「日本に行くためには最初にエージェント(仲介業者)に連絡します。それから実習生になるための施設に入ります。その施設には日本語を勉強するところ、体をトレーニングするところ、寮があります」
その施設でどのくらい勉強するの?
「一番短くて6ヶ月です。ちゃんと勉強してから、300語の単語テスト、ひらがな・カタカナのテスト、体力テストを全て合格して、受入れ企業が見つかったら日本に行けます。受入れ企業が見つからなくて1年半も施設にいた友達がいました」
施設のお金と、エージェントに払うお金が必要だよね?
「施設で掛かるお金は1ヶ月Rp 1,000,000(約8千円)。エージェントに払うお金はRp 20,000,000(約16万円)。エージェントに払うお金には、出国前の健康診断、パスポート代、日本への往復航空券が含まれてます」
お金を用意するの大変だよね?
「ムディは銀行にお金を借りてエージェントに払いました」
その施設は厳しいの?恐い先生とかいるの?
「施設は厳しいですよ。恐い先生もいます。でも、国でやってる学校の方が厳しいと思います」
エージェントと、国がやってる実習生ってのがあるの?
「はい。国でやってる実習生の学校はジャワ島にあります。お金はパスポート代だけなので安いです。でも、めっちゃ厳しいみたいです。ウィルソンさんと、マデさんは国でやってる学校に行ったと思います」
実習生の斡旋には国営と民営があるらしい
↑↑
バリ倶楽部のウィルソン先輩、日本でのエピソード
※)単語として国営・民営の使い方が間違っているかも知れません。
元々は国営の海外実習制度が主流だったようですが、最近は民営の仲介業者が増えているようです。国営はパスポート代のみ自己負担なので安いけど物凄く厳しい。民営は仲介料が高い。
国営の研修学校を知るウィルソン先輩に訊いたところ「軍隊です」と言われました。きっと鬼が住み着く学校なんでしょう。
バリ島で新聞募集を見て集まった人が350人。テストに合格してジャワ島の研修学校に進めた人が29人。鬼の研修学校で最終試験に受かった人が26人。とんでもない倍率です。
日本での生活
「ムディが働いたのは建設会社でした。寮には3つの部屋があって6人で一緒に住んでました。初めて実習生を入れた会社だったから先輩はいませんでした。たまには違う会社の実習生と集まって飲んだり、遊びに行ったりしましたよ」
途中で辞めちゃう人もいるって聞いたんだけど、一緒に行った人はみんな最後まで働いたの?
「誰も辞めませんでした。3年間一緒に働きました」
日本での仕事
「給料(手取り)は最初の1年間が月6万円。2~3年が15万円でした。バリ島のエージェントもお金を取るからムディの給料は安くなります。休みは月6日でした」
働く時間が長くて大変な会社もあるって聞いたけど、ムディの会社はどうだった?残業代はもらえるの?
「残業する会社もありますが、本当は実習生が残業するのは駄目なんです。残業したかったけど・・・出張する時はボーナスがもらえましたよ。地震の後に宮城県に出張しました」
元実習生マデの話
↑↑現在、日本語ガイドのトレーニングマネージャーをしている
マデ。企業と顔合わせの時の写真。
出身地 | バリ島 ブレレン県 |
実習業務 | 機械工場 |
実習期間 | 2007年 ~ 2010年 |
滞在先 | 山梨県 大月市 |
「最初の1年間は研修生と呼ばれます。残業も禁止されているので給料も安い。2~3年は実習生と呼ばれて給料が倍くらいになります。残業もできるようになるので嬉しかったです」
なるほど、ムディの会社とは違うんだね。
「建設業はもともと残業が少ないんです。残業が多いのは工場の仕事ですね」
それじゃマデの会社は給料が良かったんだね。
「他の実習生の話しを聞くと、もっと給料が良かったり、大きな会社は社員旅行にも連れて行ってくれるそうです。あと日本語の先生の授業を受けられる会社があって、そのケアは凄く良いと思います。私は自分で日本語のレッスンを受けていました」
マデと一緒に実習生になった人は誰も辞めなかったの?
「私は国の研修学校で勉強してから日本に行ったんですが、一緒に行ったバリ島出身の30人は誰も辞めませんでした。日本に行く前に絶対に3年間働こうと、みんなで約束したんです」
実習生のこと調べてたら、いろいろも問題もあるみたいなんだけど?
「〇〇〇(← 他国)からの実習生は働く時間が長くて、給料も安いから大変みたいですね。実習生はエージェントから給料をもらうので、会社がいくら払っているのか知りません。だからエージェントが悪いと一番大変です。
バリ島もエージェントが増えたので今は分かりませんが、国の研修学校は本当に厳しかったので、みんな日本に行ってからも頑張ります。日本のエージェントもちゃんとしてるので働きやすいんだと思います。それでも給料の問題で辞める人がいますよ」
実習生を途中で辞めると・・・
「自分で仕事を探せば日本人と同じ給料がもらえると思って逃げる人もいます。でも、逃げた人はあまり外に出ません。他の実習生とも会いません。VISAの問題があるので普通の会社では働けません」
実習生のコミュニティー
↑↑写真;左
ウィラ。右から2番目
アディ。2人ともバリ倶楽部のガイド。一緒に日本に渡った同期です。
同期で日本に行った実習生はもちろん。先輩・後輩も入れて大きな実習生コミュニティーがあるそうです。バリ島に戻ってからも連絡を取り合い、時には仕事の紹介も・・・っと、バリ倶楽部の日本語ガイドに元実習生が多いのは、このコミュニティーのおかげかも知れません。
写真:右
ウィディ。日本ではイチゴ農家に勤めてました。
現在は先輩ガイドと肩を並べて頑張っています。
日本のマグロ漁船に乗っていた
パスック。
実習生ではありませんが一味違った日本を知っています。
まとめ
バリ倶楽部のガイド
軽い気持ちで書き始めた記事ですが、話しを聞けば聞くほど簡単な題材ではないことを知りました。
ムディの話しで仲介業者に払うのはRp 20,000,000と書きましたが、2019年はRp 30,000,000が相場だそうです。一般的な20代前半バリ人の年収くらい。
銀行なのか、親戚なのか、自分の年収分を一括で払うには借金する人が多いと思います。そもそも自分でお金が用意できれば、実習生という名の出稼ぎには出ないんじゃないかな?日本が好きなら語学留学とかもあるし・・・
話しは最初に戻って建築会社の社長ちんみくん。受入れ企業側も本気、実習生側も人生賭けてるよ。お互いに損をするようなエージェント(仲介業者)には気を付けてね。
・・・はい。長くなりました。
もうここまで書けばバリ倶楽部の宣伝は必要ないと思います。みんな人生を賭けて日本に渡った経験があるのでそこが伝わればなによりです。
仕事というよりも「バリ島魅力の伝道師」のような姿勢で現場に出ていく彼らの姿は、マネージャーの僕から見てもカッコイイです。みんな日本で就職した経験があるので仕事に対する誠実さ・サービス精神は日本仕込みですよ。
By バリ倶楽部はここが違う!
では、また~