バリ島とランかウィと【 生命の木 】
2018年1月1日
こんにちは、バリ倶楽部のさすけです。
先日バリ倶楽部のガイド研修でマレーシアのランカウィ島へ行ってきました。とても充実した濃い~2泊3日間になりました。
ランカウィ島では主にイリシャドさんというナチュラリスト(博物学者)やニコルさんという海洋生物学者にお世話になりました。学者とは言えお二人とも現役バリバリのネーチャーガイドです。
限られた時間のなかでパンパンに詰め込んでの勉強会になりましたが、より多く自然のことが理解できてとても嬉しかったです。その中ですごく印象に残ったのは「イチジクの木」の話でした。イリシャドさんが保護区の熱帯雨林、ラヤ山へ連れていってくれた時の話です。
イチジク属(学名Ficus)の木は熱帯雨林にとっては最も大事な木で、熱帯雨林の要とも言われています。イチジクの実は色んな種類の鳥、サル、リズ、フルーツコウモリ、蝶などの栄養源となり、果実食動物にはなくてはならない木です。イチジク属の木は食物連鎖の一番下に位置しているのでとなるので、イチジク属(Ficus)の木がなかったら熱帯雨林の生態系が総崩れして破滅するとも言われています。
だから、イチジク属の木は自然の生態系に一番大事なんだ!と力説するイリシャドさん。「私はイスラム教徒ですが。。。」と続けたイリシャドさん。イスラムの聖書、コーランには「イチジクの実の章」があります。
旧約聖書にはアダムとイブはイチジクの葉を使って身体の一部を隠したとされています。お釈迦様は菩提樹の下で悟りを開いた。菩提樹(学名Ficus Religiosa)はイチジク属の木です。世界中のあらゆる宗教や文化でイチジクは重宝されているのは間違いないし、イチジク属の木はいかに自然の生態系に大事かということは我々の先祖は分かっていたといいます。
イリシャドさんから凄く興味深いお話きけたな~と感激しました。昔の聖人たちは現在のようにイチジクなしでは熱帯雨林が滅びるというところまでたどり着いたのか?それともたまたまイチジクの木が聖書に登場したのか?
僕は我々の先人たちは分かっていたと思います。あえてイチジク属の木を聖書に入れたり、神聖な木にしたと思います。
バリ島に帰って気になったので、バリ島で神聖だとされている木を調べてみました。
バリ島に来たことある方はご存知だと思いますが、バリ島の寺院を訪れるときに必ずといっていいほど巨木には布がまかれています。その巨木のほとんどはベンジャミンの木(ficus benjamina)やガジュマル(ficus microcarpa)、ベンガル菩提樹(ficus virens)や菩提樹(ficus religiosa)。全てイチジク属の木でした!
それらの木は神聖とされていて精霊が宿るとも言われています。その木を切るのはもってのほかです。
日本ではイチジクの実(ficus carica)しか馴染みがないと思いますが、本当の「生命の木」はイチジクの木なんじゃないのかと思うくらい調べれば調べるほど色々出てきます。750種類あると言われているイチジク属の木は薬草植物から古代エジプトの棺にまで用いられており、1万1千年前から既に存在しているそうです。
バリ島の宗教観もしかり、世界の色んな宗教はいかに自然との調和、自然のバランスを考えて生きていくことを教えているということを解ったような気がします。植樹するときはイチジクの木がいいみたいです。